最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)1584号 判決 1949年8月09日
主文
原判決を破毀する。
本件を東京高等裁判所に差戻す。
理由
各弁護人の上告趣旨は末尾添附別紙記載の通りであり、これに対する当裁判所の判断は次ぎの如くである。
弁護人所竜璽の上告趣旨について
所論の調書を見ると原審第四回期日(判決言渡期日)に立会った判事は裁判長判事小泉英一判事飯田一郎判事井波七郎である旨の記載がある、しかるに同調書に裁判長として署名捺印して居るのは判事山田要治であること所論の通りである、かかる調書では果して判決言渡が適法に爲されたかどうかを証明することが出來ない、即適法な判決言渡があったかどうかわからないから原判決を破毀して事件を原審に差戻す外ない。
よって旧刑事訴訟法第四四七條、第四四八條の二に從って主文の如く判決する。
以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)